【開催レポート】「宮城の手すき和紙体験教室」(2022/9/3)

2022年9月3日(土)、手すき和紙工房潮紙(宮城県柴田郡川崎町)にて、「宮城の手すき和紙体験教室(令和4年度文化庁伝統文化親子教室事業)」を開催しました。

子どもたちにとっては、夏休みが終わり、学校が始まって1週間くらい経過したタイミングでした。
新型コロナウイルス感染症対策として、受付での検温と手指の消毒のほか、参加者どおしが、できるだけ、同じ部屋に長時間滞在しないような運用にするなど、参加者の皆様にもご理解ご協力いただき、無事に終えることができました。

「宮城の手すき和紙体験教室」プログラム内容・・・全5回(3日間)

2022年8月20日(土)
①全体ガイダンス、職人さんから和紙の歴史や特徴を学ぶ、工房見学
②コウゾやトロロアオイ畑の観察、工房周辺の散策

2022年9月3日(土)
③流しすき体験

2022年10月15日(土)
④デザインワークやステンシルの手順の説明、和紙の水切り体験
⑤ブックカバー創作

子どもたちが使う道具は、紙すき職人が使う本物の簾桁(すけた)!

水の中にコウゾを入れて紙料液をつくっている様子
トロロアオイを加えている様子

トロロアオイを加えることで、コウゾがかたよらず、うすくて厚みにむらがない和紙ができます。

フネの中の紙料液をかきまぜている様子

紙料液が入っている容器はフネといって、さびないようにステンレスでできています。

フネの中には、水路からくみあげた水をそそぎ、コウゾを入れて、トロロアオイを加え、かきまぜ棒でよくかきまぜます。

まずは、手すき和紙工房潮紙の紙すき職人 塚原さんが、流しすきの所作をひととおりやってみせてくれます。
職人の所作は流れるようにつながっていて、むだがありません。

見ているみんなの表情は真剣そのもの。

その後は、いよいよ自分の番です。

簾桁(すけた)で試料液をくみあげてゆすることで、コウゾの繊維がからみあい、強い和紙ができます。
試料液をくみあげてゆする回数により、厚みをつくっていきます。

 

簾桁(すけた)から、簾(す)だけを外します。簾(す)には、コウゾがくっついているのが見えます。これが乾くと和紙になります。
最初は職人さんに一緒に持ってもらいます。
和紙をすいた後は、簾(す)にくっついている和紙をそのまま運びます。

 

参加者によっては、フネの高さにあうようにスノコを使います。

できた和紙は簾(す)からはずして重ねていきます。

この後は、紙すき職人の塚原さんが、圧搾(時間をかけてゆっくり水分をぬいていく)して、乾燥してくれます。

参加者は、実際に、簾桁(すけた)を持ってみて、ゆすってみて、色々感じた様子でした。

トロロアオイが加わる前と加わった後とで、どんな風に変わるの?

トロロアオイを加える前の紙料液と加えた後の紙料液を触ってみると、その違いはよくわかり、トロロアオイの役割が理解できます。

実際に触ってみた参加者からは「なるほど~!」と聞こえてきました。

工房の裏の畑に行ってみると、トロロアオイが花を咲かせていました。

きれいな花ですが、実は、和紙づくりにおいては、トロロアオイの根っこを使うので、根っこを太らせるために、花は鑑賞せずに切ります。

トロロアオイの花は食べられると聞いて、実際に花びらを食べてみると、確かにトロッとした食感がありました。塚原さん曰く、ポン酢があうよ、とのことでした。

「宮城の手すき和紙体験教室」は、10月15日(土)のブックカバー創作へと続きます。

(文・写真/早川昌子)

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