【開催レポート】「宮城の手すき和紙体験教室」(2023/10/21)

2023年10月21日(土)、古民家 道中庵(宮城県仙台市太白区)にて、「宮城の手すき和紙体験教室(令和5年度文化庁伝統文化親子教室事業)」を開催しました。

 東北工芸ことはじめでは、東北6県の風土に根差した工芸を、現代の暮らしの中に取り入れ、親子で楽しむことができる機会を提供するとともに、工芸の継承に寄与するため、主にものづくりやデザインに焦点をあてたワークショップのプログラム開発や運営を行っています。

 子どもにも身近な紙をテーマとすることで、工芸への興味関心を持つ層の拡大につなげるとともに、子ども達が和紙についての歴史や和紙の特徴、流しすきの技法などについて知り、日本文化について自分の言葉で人に伝え、広がることを期待しています。

この日は、自分ですいた和紙を水切りという技法で本のサイズにカットして、ステンシルをしてブックカバーをつくりました。

「宮城の手すき和紙体験教室」プログラム内容・・・全5回(3日間)

2023年8月19日(土)
①全体ガイダンス、職人さんから和紙の歴史や特徴を学ぶ、工房見学
②コウゾやトロロアオイ畑の観察、工房周辺の散策

2023年9月9日(土)
③流しすき体験

2023年10月21日(土)
④デザインワークやステンシルの手順の説明、和紙の水切り体験
⑤ブックカバー創作

9月9日(土)に続き3日目となる今回は和紙の水切り体験とステンシルでのブックカバー創作です。
>>【8月19日の開催レポート】はこちらをご覧ください
>>【9月9日の開催レポート】はこちらをご覧ください

ブックカバーをかけたい本ってどんな本?

体験教室は、ブックカバーをかける本のタイトルと、その本を選んだ理由の発表からスタートです。
参加者による本選びの発表は、毎年、私たちスタッフも楽しみな時間です。

和紙の風合いをいかす「水切り」

本の大きさに合わせて和紙をカットすため、「水切り」という技法に挑戦します。
ハサミやカッターでカットせず水切りの技法を使うことで、はしっこが和紙ならではの風合いになります。


水切り

【準備物】
水(コップ等に入れて)、筆(絵具等がついていないもの)

【手順】
1.本の大きさにあわせて和紙に切りたい線の折り目をつける
2.コップ等に水を準備して筆に水をふくませる
3.和紙の折り目を筆でなぞって和紙に水をふくませる
4.筆でなぞった線で和紙をさいていく
(破るというより「さく」感じ)

水切りについてはこちらの記事にも紹介しています>https://cotohajime.jp/post-2422/


どんなデザインにすればいいの?

例えば、本の内容や登場人物等を手掛かりにモチーフを考えます。
講師とのやりとりの中で徐々に下書きが進んでいき、いつの間にか誰もがステンシルに夢中になります。
今年も誰もが納得のいく仕上がりになったようでした。

毎年、参加者からの声が私たちスタッフの励みになっています。
参加者アンケートより一部をご紹介します。

座学、原料畑の見学、手すき和紙体験、ブックカバーづくりとふだんできないことを子どもと一緒にできてとても良かったです。

テレビで紙の事をやっていた時、子ども達が「あ!これ知ってるよ!」と楽しそうにお話してくれました。

道ばたでコウゾやトトトアオイを探すようになりました。

和紙がとても上部な素材であることに驚きました。ブックカバーを使うのがとても楽しみです。

みなさんのホスピタリティが高く、楽しく活動できました。伝統文化に親しめる良い機会となりました。
ありがとうございました。

会場は地域に残る文化的な施設

道中庵の玄関横にある座敷には出来上がった和紙を並べて参加者の皆さんをお出迎え。

会場は、今年も道中庵を会場として使わせていただきました。
毎年、お父さんお母さんたちから「この建物、すごいですね」「来れて良かったです」といった感想をいただきます。
道中庵は、 2019年10月末で閉館したユースホステルです。
平成3年仙台市都市景観賞(歴史・文化部門)を受賞されているほか、フランスのミシュランガイドに掲載されたこともある国内外から高い評価を得た施設でもあります。
使わせてくださったオーナー様へこの場を借りてお礼申し上げます。

令和5年度の「宮城の手すき和紙体験教室」は終了しました。

(文・写真/早川昌子)

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