和紙の「水切り」

東北工芸ことはじめ

自分ですいた和紙の手触り

「宮城の手すき和紙体験教室」では、自分ですいた和紙を使ってブックカバーをつくります。

流しすきでつくった和紙は、工房でおよそ1ヶ月間乾燥させたら"出来上がり"です。

出来上がった和紙を実際に手に取ってみると、誰もが「きれい!」「気持ちいい!」「感動!」といった感情で満たされます。
そのタイミングで、和紙の扱い方について知ることで、和紙への深い理解につながり、触った感触と一緒に良い印象が残るのではないでしょうか。

ここでは、ブックカバー創作を例に和紙のカット方法である「水切り」について一緒にみてみましょう。

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流しすき体験をした親子が、お互いに、自分ですいた和紙と比べている様子

和紙の「水切り」

出来上がった和紙をブックカバーにする際、本のサイズにあわせてカットする必要があります。カッターやハサミを使うことも出来ますが、ここでは「水切り」という技法を使ってカットする方法をご紹介します。

手すき和紙の端っこ(「耳」と言います。)は、ホワホワッと波打っているのが特徴ですが、「水切り」でカットすることで、耳の表情を損なわない切り口になります。

<水切りの手順>

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和紙を希望のサイズに折り、折り筋を水で濡らします。

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端っこから割きます。最初だけ少し力が必要です。

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水で濡らした折り筋に沿って割いていきます。

書店で文庫本を買うと、包装紙をブックカバーにしてくれますが、上下の余り部分を内側に折り曲げてあります。その方が破れにくいからでしょう。

一方、和紙は洋紙と比べて強度があるので、上下は切りっぱなしでも大丈夫。

「水切り」でカットするブックカバーは、手すき和紙ならではの仕上がりになります。
水切りの感触も気持ちいいですよ。

(文・写真/早川昌子、タイトル写真/早川欣哉)
記事作成:2020年6月19日、記事更新:2022年9月4日

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