浅野友理子さんインタビュー/後半

和紙が私たちをひきつける魅力はどこにあるのか、もっとしっかりと確かめたい!という思いから、宮城県在住の作家 浅野友理子さんにお話しを伺うインタビュー。
前半では、そのヒントを伺うことができました。
後半は、浅野さんの作品づくりと日々の暮らしとの関係についてです。

浅野さんは、2021年7月に開催されていた「エマージング・アーティスト展」(東京の銀座 蔦屋書店 GINZA ATRIUM)にて、トロロアオイ畑での種まきを描いた新作を展示していました。
※エマージング・アーティスト展…雑誌『美術⼿帖』の「ニューカマー・アーティスト100」特集で掲載された100組のアーティストのなかから、銀座 蔦屋書店がセレクトしたアーティスト19名を紹介。

受け継がれてきた生活文化を残すためにできること

東北工芸ことはじめ(以下、ことはじめ):
「浅野さんの公式サイトで紹介されている作品は、植物が多く、どれも色鮮やかで独特のタッチでキャンバスいっぱいに描かれています。
自己紹介のページには、『食文化や植物の利用を切り口に、様々な土地を訪ねています。』とあります。」

浅野さん:
「昔から植物、野菜や木の実、海であれば貝類などの造形が好きで、よく描いていました。
また、国内外問わず歴史や土地ごとの文化について知ることがもともと好きでした。
今の作風になったのは、大学の頃に山形に住んでいて、大学のプロジェクトや、あるいは個人的な興味で、様々な土地を尋ね歩く機会が多かったことが大きいと思います。
人と植物(あるいは様々な食文化)との関係性や、地域ごとにどのように活用しているのか、どういった歴史を持っているのか。
調べたり、体験したり、そのときに出会った人たちとのやりとりの中で、その対象のことを深く知っていく過程がおもしろくて、愛着が湧いて、描いてみたいなという気持ちが強くなっていきました。」

ことはじめ:
「様々な土地を訪ね歩く機会に加え、そこで調べたり体験したり、出会った人たちとのやりとりが、描く動機付けになっていて、作品にも表れているのですね。」

浅野さん:
「教わったことを自分自身が体験するのも大きいです。描く前に自分も体感することで、身体的に習得していく感覚も、描くうえで重要な部分だと思います。
また、植物や食文化について伺ったり教わったりしながら、出会った人たちの記憶や大切されているエピソードについて聞くことにも取り組んでいます。
そうしたエピソードの一つ一つの中に、心動かされるとても素敵な話があったりして、絵を通して描き残してみたいという気持ちを強くしてくれます。」

襖絵「泥中の花」を描く浅野さん:「泥中の花」は、福島県耶麻郡猪苗代町の長照寺に奉納されました。

ことはじめ:
「浅野さんは、これから、どんな作品を描いていきたいですか?
絵を描くことは、浅野さん自身の暮らしとどんな風につながっているのかもお伺いしたいです。」

浅野さん:
「今のところは、ですが、これからも現在のような活動を続けていきたいと思っています。
いま通っている場所も、まだ訪れたことない土地も、まだまだ興味はつきないです。その時々に出会いがあり、それがまた違う土地への興味へと繋がっていったりします。
出会う方々の生き方やお話から、自分自身どうやって生きていこうかなと考えさせられることも度々あります。
また受け継がれてきた生活文化を残すために、自分のしていることで何ができるのか、どういう視点が必要なのか考えることもあります。

そのためには、絵を描くこともそうだけれど、まずは自分自身が教わったことを少しずつ生活に取り入れていけたらとても理想的だなと思っています。

制作に集中しているときは、描くだけで精いっぱいなときが多いですが。これからも頑張りつつ、少しずつ無理のない活動と、生活ができていったら幸せだなとも思います。

歩いているときに、これは〇〇だ、これは〇〇だと植物がわかったりしたときに、少しずつ身についているような気がして嬉しくなります。
コロナ禍は庭での植物栽培を楽しんだりしていたので、最近は身近でできることをよく考えるようにもなりました。」

自分に向いていること

浅野さん:
「先日、ご縁があって藍染の藍の下処理のお手伝いをしたり、最近は職人さんのお仕事と関わる機会が多くて、それもまた勉強になるし、とても楽しいです。
次は型染のデザインと型作りをやってみたいなと思いました。

自分の描きたい絵を描いて発表することは続けていきたいと思っているのですが、それとは別に誰かと共同したり、コラボしたりしていくことも自分には向いているような気がしていて、そうした活動も続けていきたいなと思っています。」


今回の浅野さんのインタビューを通して、和紙が私たちをひきつける魅力はどこにあるのか確かめることができたように思います。

受け継がれてきた生活文化を残すために、自分のしていることで何ができるのか、どういう視点が必要なのか考えているという浅野さん。
絵を描くこともそうだけれど、まずは自分自身が教わったことを少しずつ生活に取り入れていけたらとても理想的、という浅野さんのお話にはとても共感します。

浅野さん、ありがとうございました!今度、コラボできたら嬉しいです!

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(助成)公益財団法人仙台市市民文化事業団
文・取材 早川昌子
写真 早川欣哉


<プロフィール>
浅野友理子
1990年宮城県生まれ。2015年東北芸術工科大学大学院芸術文化専攻洋画研究領域修了。食文化や植物の利用を切り口に、様々な土地を訪ね、出会った人たちとのエピソードとともに、そこで受け継がれてきたものを記録するように描いている。
2021年9月よりサザンカの絵が宮城県多賀城市の市制施行50周年記念オリジナルフレーム切手に使われ、数量限定で販売されている。
主な個展に「綯い交ぜ」(ビルドスペース、宮城、2021)、グループ展に第8回東山魁夷記念日経日本画大賞展(上野の森美術館、東京、2021)、ウォールアートプロジェクトふくしまin猪苗代(猪苗代町吾妻小学校、福島、2021)、みちのおくの芸術祭 山形ビエンナーレ2020(山形、2021)、青森EARTH2019 いのち耕す場所 農業がひらくアートの未来(青森県立美術館、青森、2019)、若手アーティスト支援プログラムVoyage(塩竃市杉村惇美術館、宮城、2016)、たべるとくらす(はじまりの美術館、福島、2016)
「VOCA展2020 現代美術の展望ー新しい平面の作家たち」大原美術館賞受賞。
公式ウェブサイト https://www.asanoyuriko.com/

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