【開催レポート】「宮城の手すき和紙体験教室」(2022/10/15)

2022年10月15日(土)、古民家 道中庵(宮城県仙台市太白区)にて、「宮城の手すき和紙体験教室(令和4年度文化庁伝統文化親子教室事業)」を開催しました。

今回も参加者の皆様には新型コロナウイルス感染症への対策としてアルコール消毒や検温などにご協力いただきました。

会場で和紙を見た参加者からは、「わ~、和紙になってる~!」と嬉しそうな声が聞こえてきました。

さて、この日は、自分ですいた和紙を水切りという技法で本のサイズにカットして、ステンシルをしてブックカバーをつくりました。今年も参加者の個性あふれるブックカバー作品ができあがりました!

「宮城の手すき和紙体験教室」プログラム内容・・・全5回(3日間)

2022年8月20日(土)
①全体ガイダンス、職人さんから和紙の歴史や特徴を学ぶ、工房見学
②コウゾやトロロアオイ畑の観察、工房周辺の散策

2022年9月3日(土)
③流しすき体験

2022年10月15日(土)
④デザインワークやステンシルの手順の説明、和紙の水切り体験
⑤ブックカバー創作

ブックカバーをかける本のセレクトから今どきの小学生の感性を垣間見る

体験教室は、ブックカバーをかける本のタイトルと、その本を選んだ理由の発表からスタート。
参加者による本選びの発表は、毎年、私たちスタッフも楽しみな時間です。
今どきの小学生の感性に触れる機会でもあり、お母さん方、お父さん方が読んでおられる本にも興味がわき読書のきっかけにもなります。

和紙の風合いをいかす「水切り」

本の大きさに合わせて和紙をカットすため、「水切り」という技法に挑戦します。
ハサミやカッターでカットする方法もありますが、水切りの技法を使うことで、はしっこが和紙ならではの風合いになります。

水切り

【準備物】
水(コップ等に入れて)、筆(絵具等がついていないもの)

【手順】
1.本の大きさにあわせて和紙に切りたい線の折り目をつける
2.コップ等に水を準備して筆に水をふくませる
3.和紙の折り目を筆でなぞって和紙に水をふくませる
4.筆でなぞった線で和紙をさいていく
(破るというより「さく」感じ)

水切りについてはこちらの記事にも紹介しています>>https://cotohajime.jp/post-2422/

ステンシルは描くテクニックに関係しないので誰でも表現を楽しめる

最初は誰もがブックカバーをどんなデザインにするのか手がかりがつかめません。

どんなデザインにすればいいの?
例えば、本の内容や登場人物等を手掛かりにモチーフを考えます。

講師とのやりとりの中で徐々に下書きが進んでいき、気がついたらステンシルを始めていました。

ステンシルの手順やコツも教えてもらい、誰もが納得のいく仕上がりになったようです。今回も参加者それぞれの思いの詰まった作品が生みだされました!

毎年、参加者からの声が私たちスタッフの励みになっています。
参加者アンケートより一部をご紹介します。

和紙とは?から実際の和紙づくりまでとても楽しく学ぶことができました。実生活への和紙の取り入れ方としてもブックカバーづくりもとても素敵だなと思いました。ありがとうございました。

日本の文化に触れる良い機会になりました。自分で和紙をすいたことで自信がついたようです。

なかなか体験することができないことなので、身近に和紙が感じられました。デザインづくりもとても楽しくしておりました。参加させて頂きありがとうございました。

ものづくりを最初からという経験はとても楽しく子どもも大人も良い経験になりました。

手すき和紙を作るという貴重な経験をさせていただきありがとうございました。日本の伝統に触れ親子で思い出をつくることができました!また参加したいです!

もともと歴史に興味がある兄にとって今回の経験や工房の場所(つくり)自体が大変興味深いところで、「受け継がれる伝統、歴史」について、また深く改めて考える時間となりました。私たちが受け継ぐべきもの、事柄、気持ち「志」人生観を育む多くの経験を重ねて欲しいと願う母です。

会場は地域に残る文化的な施設

最後に、会場として使わせていただいた道中庵について少し触れたいと思います。
道中庵は、 2019年10月末で閉館したユースホステルです。
平成3年仙台市都市景観賞(歴史・文化部門)を受賞されているほか、フランスのミシュランガイドに掲載されたこともある国内外から高い評価を得た施設でもあります。
今年も会場として使わせてくださったオーナー様へこの場を借りてお礼申し上げます。

宮城の手すき和紙体験教室(令和4年度文化庁伝統文化親子教室事業)の作品

 

令和4年度の「宮城の手すき和紙体験教室」は終了しました。

(文・写真/早川昌子)

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