「流しすき」を知る
和紙には、手すきの和紙と機械すきの和紙があり、手すきには、中国から伝わった「溜めすき」と日本が発祥の「流しすき」があります。
「流しすき」は、簀桁(すけた)で何回も紙料液(和紙の原料の液)を汲み込み、目的の厚さに達すると桁(けた)から簀(す)をはずして、簀の上にできた湿紙を重ねていく方法です。
「流しすき」は、桁を揺り動かすことで紙の繊維を絡めやすく、和紙が破れにくくなります。
奈良県にある正倉院には702年に漉かれた和紙が保管されているといいますから、その保管期間は1,300年以上!
また、和紙の技術の高さを感じさせる表現として「透かし」があります。
透かし:和紙の技術の高さを感じさせる表現で、日本のお札にも透かしがあります。
「流しすき」で使う道具に触れる
「流しすき」の和紙にはタテ目とヨコ目があります。
これは、紙をすく際に、簀桁(すけた)を前後と左右に動かすからです。
他の伝統産業と同様に、手すき和紙の世界でも職人不足、後継者不足が深刻です。しかし、減っているのは紙すき職人だけではありません。「流しすき」で使う簀桁(すけた)の製造者も減っていて、今では日本中探しても数名と言われています。ですから、道具自体が貴重なものですし、その簀桁(すけた)を使う「流しすき」体験が出来るとしたら、それはとても貴重な体験と言えるのではないでしょうか。
簀桁(すけた)は、紙料液を汲み込むと重さが増します。慣れていない大人が持ってもそれなりに重く感じますから、子どもが前後左右に動かすのはなおさら大変そうです。
しかし、その苦労の後は、何とも言えない達成感のある表情を見せてくれます。
これは、ものづくりを五感で体験した人だけが味わえる、リアルな達成感なのだと思います。
小学生が手すき和紙職人と一緒に流しすき体験をする様子