私たちの身の周りには、絵の具やDIYで使用する塗料など、色々な着色材があり、目的や用途に応じて多種多様な商品があります。日本語では、絵画などを描くための商品を「絵の具」、保護や美観のための商品を「塗料」と使い分けることが多いですが、英語ではどちらも「paint(ペイント)」で、絵の具と塗料に区別はありません。
絵の具であれ塗料であれ、着色材は、「顔料」、「展色剤」、「添加剤」、「溶剤」の4つの要素で構成されています。各要素で使用される材料とそれらの組み合わせが目的や用途に応じて選択され、それによって色々な種類の着色材が生み出されるわけですが、絵の具も塗料も基本は同じなのです。
顔料
「顔料」は、色の素となる素材(色材)です。現在、一般的な顔料は人工的な化合物で、着色材の種類に関わらず共通の素材です。しかし、日本画の「岩絵の具」の中には、天然の鉱物や土などからつくられた高級な顔料もあります。
色材には、顔料のほかに「染料」がありますが、顔料と染料は、根本的に異なる素材です。両者の違いは、顔料は粒子なので水や油に溶けません。これに対し、染料は粒子ではないので水や油に溶けます。ここでは詳しく触れませんが、染料は、化学変化によって「染色」します。
展色剤
「展色剤」は、顔料を紙などの表面にくっつける糊の役目を果たす材料のことで、「バインダー」や「ビヒクル」とも呼ばれます。
展色剤にはいくつかの材料が混ぜらていますが、メインとなるのは「固着材」で、着色材の種類は、固着材の種類によって決まります。
<着色材別の固着材の例>
・岩絵の具…膠〔にかわ〕など
・油絵の具…リンシードオイル(亜麻仁油)など
・水彩絵の具…アラビアガム(アカシア樹脂)
・アクリル絵の具…アクリル樹脂エマルション
・建築物の外壁塗装用の塗料…シリコン樹脂やフッ素樹脂など
添加剤
「添加剤」は、乾きやすさや艶などの調整のために加えられる材料です。「助剤」とも言い、アクリル絵の具の「メディウム」などもこれにあたります。
溶剤
「溶剤」は、顔料や固着材を液状化して塗り広げやすくする材料で、水性(水溶性)と油性(油溶性)の2種類があります。時間が経つと乾燥(固化や気化など)してなくなります。水性の溶剤は「水」、油性の溶剤は「シンナー」などです。
伝統とは、常に最新の技術や知識を取り入れて進歩していくものです。
着色材のことを知ることで、手すき和紙の型染めに使用する着色材の可能性を感じませんか?
<参考ウェブサイト>
https://www.kunishima.com/paint00.htm
http://www.artnavi.ne.jp/representation/gazai/
http://home.sato-gallery.com/research/nipputen64_citizen_lecture.pdf
https://www.toyo-color.com/ja/products/organic_pigments/about.html