2024年9月28日(土)、手すき和紙工房潮紙(宮城県柴田郡川崎町)にて、「宮城の手すき和紙体験教室(令和6年度文化庁伝統文化親子教室事業)」を開催しました。当体験教室は今年度で6回目になります。
また、今年度も文化庁伝統文化親子教室事業に採択されたことで参加費1,000円を実現しています。
東北工芸ことはじめでは、東北6県の風土に根差した工芸を、現代の暮らしの中に取り入れ、親子で楽しむことができる機会を提供するとともに、工芸の継承に寄与するため、主にものづくりやデザインに焦点をあてたワークショップのプログラム開発や運営を行っています。
工芸への興味関心を持つ層の拡大を図るため、子どもにも身近な「紙」をテーマとすることで、子ども達が、和紙の特徴や歴史、流しすきの技法などを知り、日本文化についての理解を深め、自分の言葉で人に伝えられるようになることを期待しています。
◆全5回(3日間)のプログラム概要◆
2024年9月28日(土)
①全体ガイダンス、職人さんから和紙の歴史や特徴を学ぶ、工房見学
②コウゾやトロロアオイ畑の観察、工房周辺の散策
2024年10月20日(日)
③流しすき体験
2024年11月16日(土)
④デザインワークやステンシルの手順の説明、和紙の水切り体験
⑤ブックカバー創作
はじめに、参加者どおし自己紹介をして、この体験教室で楽しみにしていることを発表してもらいました。
「和紙について知りたいです。」「和紙づくりをしたいです。」「ブックカバーづくりを楽しみにしています。」などの声が聞かれました。
1.紙すき職人 塚原英男さんから和紙のことを教えてもらう親子
工房の成り立ちから、和紙と洋紙の違い、手すきの紙と機械すきの和紙の違い、使っている原料や道具のこと、和紙の歴史など、和紙についての様々な話がテンポよく進んでいきました。
2.工房を横切る水路に足をつけて水の冷たさを体感する子どもたち
ここで水に足をつけて1分間チャレンジ!
全員がチャレンジしていました。
水温は1年を通して一定で12~15度くらい。真夏でも冷たく澄んでいて、サンショウウオもいます。
紙すき職人の塚原さんが、この場所に工房を開かれたのはこの水があるから。
3.職人が使う本物の道具に触らせてもらう子どもたち
流しすきは、フネと呼ばれる水桶に水をため、簾(す)と桁(けた)を使って紙をすきます。
4.工房の畑で和紙の原料であるコウゾの皮をむく参加者
5.工房周辺の散策の様子
実は、コウゾはそれほど珍しい植物ではありません。道端や河原の土手などにも生えています。ただ、コウゾの種類は様々あるそうです。
6.工房近くの十一面観音にて
太宰治の小説に笹谷峠にまつわる女山賊の話がでてきます。
7.散策の時は丁度、栗が落ちていました。
皆さん、虫食いがない栗を探していました。
体験教室をとおして、潮紙でつくられる手すきの和紙が、とても破れにくく長持ちすることがわかりました。
そして、和紙づくりの原料や道具に実際に触れることで理解が深まり、次回の流しすき体験に向けて、期待する様子が伺えました。
(文・写真/早川昌子)